そして翌日の午後、祐希の散歩がてらスーパーへ行き、冷蔵庫の中になかった茗荷と澄まし汁に入れる三つ葉を購入。
午後6時、キッチンから見える位置に祐希専用のラックを置いてそこに彼を寝かせた状態で夕飯を作った。
午後8時半過ぎ、目を覚ました祐希と一緒にお風呂に入り授乳もした。
授乳したことによりお腹が空いてしまった私はラックの中でウトウトしている祐希の横で自分の作ったお寿司を少しだけつまみ食い。
日詠先生、いつ帰ってくるのかな?
でも帰ってくるの、早くて夜10時って言ってたしな
お寿司はともかく、夜ちょっぴり冷えてきているからあったかい澄まし汁を飲んでもらえるといいんだけど
取りあえず祐希を寝かせて、先生が帰ってくるの、待ってみようかな
『よ~し、祐希~寝ようかぁ。』
私が寝室のベビーベッドに祐希を寝かしつけた時、時計の針は午後9時過ぎを指していた。
そこまでは覚えていた。
そこまでは・・・・・・・
「ごちそうさま。」
・・・えっ?!
突然、私の耳に滑り込んできた心地いいその声。
日詠先生が帰ってくるのを起きて待っていようとしていたのにも関わらず、自分が寝室のベッドで眠ってしまっていたことに気がついて驚く。
そして、自分が寝かし付けた筈の祐希の姿がベッド上になく、彼がその声の主の腕の中に抱かれていたことにも驚いてしまった。
ハッとしながら見た時計の針は午後11時半前。
「悪い。起こしちゃったみたいで。」
『・・・先生、おかえりなさい。スミマセン、うっかり眠っちゃってて・・・』
既にお風呂に入っておりもちろんノーメイクだった私。
せめてなにも書き足していない眉だけは見られたくないという一心で乱れていた前髪を手櫛で急いで直しながら眉を隠した。
慌てる私にまだYシャツに緩んだネクタイを着けたままの日詠先生はクスッと笑う。
まだ帰って来て間もないらしい。



