冷蔵庫の中を覗き込みながらそんな事を考えていた私の耳にお腹が空いたらしい祐希の泣き声が滑り込んで来た。
私は急いで冷蔵庫のドアを閉めて、寝室のベビーベッドで横になっている祐希のもとへ駆け寄り、手際良くオムツを替えて母乳をあげた。
そして、再び祐希を寝かし付け、お風呂を出た頃には、時計の針は夜の12時を回っていた。
東京から戻り、日詠先生宅で生活をし始めたという慌しかった一日の疲れがどっと押し寄せた私はダブルベッドにダイビングした状態で眠ってしまった。
しかし、生後約2ヶ月の祐希は3~4時間でお腹が空くらしく、せっかく寝付いた午前2時に私は彼の泣き声で起こされてしまった。
半分しか目が開いていない状態で母乳をあげたが、祐希はなかなか寝付くことができずグズグズしていて、かなり眠い私もイライラ。
抱っこしても、背中をトントンしても、なかなか寝付かない
眠いな
朝まで、ゆっくり朝までぐっすりと眠りたい
ニュースとかで最近よく耳にする幼い乳児につい手を上げてしまう親の気持ち、
わかるような気がする
でも、この子に手をあげても、彼自身はなにがなんだかわからないから
ただ恐怖心を植えつけてしまうだけだよね?
それに眠いのは、私だけじゃない・・・
同じぐらいの子供がいる他のお母さん達だってそう
日詠先生だって、先生だって、今
こんな夜中でもきっとあの穏やかな声で優しい表情で
急に産気付いて病院に運ばれた妊婦さんと向き合っているんだ
『私だけじゃない・・よ。』
私は自分にそう言い聞かせ、祐希を抱っこしたまま夜風をあたりに外へ出た。
あと1週間もすれば10月になるせいもあってか、若干ひんやりとした風が私の頬をかすめ、なんだか気持ちいい。
さっきまであんなにグズグズしていた祐希もいつのまにか寝息をたて始めていたので、私は彼を起こさないように充分に注意を払いながらマンションの部屋まで戻った。



