彼の手招きに導かれて向かった先。
そこは10帖くらいの広さがあり、窓際には淡いグリーンのカーテンが掛けられておいる。
部屋の中には、ウッドカラーのベビーベッドとそれと同じ色のシンプルなダブルベッド、クリーム色のソファーとガラス製のローテーブルまでもが置かれていた。



『先生、このベッド・・』

「ん?・・あっ、祐希のベッドか?この色、ココの部屋にマッチするかと思ったから。」


買ってくれちゃったんだ、ベビーベッド2台目も
それも嬉しいんだけど、それよりも
もう1つのベッドが気になるんです、私


『あの~こっちのベッドは・・』

それを聴いてもいいのか心配になった私は恐る恐るそのベッドを指差し、彼の顔色を窺いながら小声で尋ねてみた。


「あっ、このベッド?コレ、キミの!」

サラリとそう言ってのけた彼。


『へっ?私の?』

「へっ?って、キミのベッド、祐希の隣のほうがいいかと思って・・・これだけ広ければ、添い寝もできるし。ダメだったかな?」

そう言いながら不思議そうな顔で私を覗き込む彼。


だ、ダメなんかじゃないです
いえ、そうじゃなくて・・・そうなんかじゃなくて


『そうじゃなくて・・・コレ、だ、ダブルベッドだから、先生も一緒に寝るのかな・・・ああっ!私ってば////』



あぁ、私ってば、とんでもないコトを声に出して言っちゃってるよ

「・・・・・・・」

私のマヌケな一言を耳にした日詠先生はクルリと体の向きを変えて私に背を向け、肩で息をしながら必死に笑いを堪えているらしい。
そして、ようやく息が整ったらしい彼は、私の方を振り返ってニヤリと意地悪っぽく笑った後に口を開いた。


「そんなコト考えてたのか?・・・でも、俺の寝室は別にあるからなぁ・・・でも・・・一緒に寝るか?」

耳まですっかり真っ赤になった私はぐうの音も出ない状態に陥り、問いかけに反応できない。
さっきまで意地悪な笑みを浮かべていた日詠先生もなぜか顔がほんのり赤い。


「ゴメン。ちょっとからかい過ぎたかな?」

『・・・・・・・』

相変わらず緊張気味な私の心を解してくれようとしているのに、申し訳なさそうに謝る日詠先生に向けて、私はそうじゃないと必死に首を横に振る。