「・・・俺、杉浦さんの勢いに釣られてキミに内緒で俺の自宅にキミの荷物を運んで貰ったんだけど・・・」
杉浦さんって、真里のこと?
「その時はまだキミから一緒に暮らすかどうかの返事を貰ってなかったから、これで同居を断られたらどうしようかなんて内心心配したりもしたんだけど・・・でも、キミから一緒に暮らしたいって返事を貰ったから助かったよ・・」
『えっ、真里が、そんなことを?!』
「そう。杉浦さん、キミに喜んで貰いたいからって運送屋さんを手配したりして一生懸命やってくれてた。」
真里が日詠先生と電話でやり取りしていたのって、このこともあったんだね
日詠先生と真里の間に何かあったのかなって
変な勘繰りをしてしまった自分が今となっては恥ずかしい・・・
「俺もキミにもし同居を断られても、ただ、俺は一緒にいたいと思ったから、キミをなんとか説得してみようと思ってたから・・荷物、運んで貰うのを了承したんだ。」
それに、日詠先生が同居の話を提案してくれたのは
私の置かれている境遇を考慮してくれているだけだと思ってた
それなのに
日詠先生が私と一緒にいたい
そんなことを思ってくれていたなんて
「ゴメンな、勝手なことをしてしまって・・・・でも、もし、やっぱりココに戻りたいのであれば、今からでも・・・」
真里と日詠先生のサプライズな行動に凄く驚いた
だけど、凄く嬉しい
だから日詠先生その先は
その先はもう・・・言わないで
『・・・私』
「・・・ゴメン。」
そんなに申し訳なさそうな顔しないで
『私、こんなコトされたの、初めてで・・・』
「ゴメン。俺、余計なコトをした。」
自分を責めているような顔
お願いだから、そんな顔しないで
私・・・
『嬉しいんです。先生の家に、連れて行って欲しい・・・傍にいて欲し』
グイッ!!!
キャッ!!
目の前が、暗い??
えっ?
・・・・この匂い
やっぱり懐かしい
『日詠先生?』
「わかったから、もうそれ以上言わなくてもいい。」
私は彼の穏やかな囁き声を彼の大きな左胸の中で聞いた。
そして、彼の右胸には祐希もしっかりと抱きかかえられていた。
「今度こそ、行くぞ。”俺の家”に・・・」
その言葉は海老名サービスエリアで言われた台詞と同じ。
でも、少し恥ずかし気だったその時とは異なり、凄く自然で、凄く力強く感じた。
私は自分の顔を彼の左胸に埋めたままゆっくりと頷いた。



