「高梨さんも、行こう!」
『・・は、ハイィ!!!』
完全に自分の世界に入っていた私は日詠先生の声かけでようやく我に返り、声が裏返りながらもなんとか返事をした。
そんな私の様子がかなり可笑しかったのか、日詠先生は笑いを押し殺すのに必死な様子。
先生、そんなに笑わなくても・・・
でも、祐希のコトは祐希って呼んでくれたのに
私は ”高梨さん” のままか~
いつかみたいに名古屋の病院で抱きしめられた時のように
伶菜って呼んで欲しいな
って、欲張り過ぎだよね、私・・・・
「・・・伶菜・・・も行くぞ!!!!」
行くぞ!!のほうが格段大きく聴こえたけれど伶菜と言ってくれた日詠先生の頬は
さっきまで笑いを押し殺していたせいなのか
それとも
私のコトを伶菜と呼んでしまった照れ隠しなのか
ちょっとだけ紅潮しているように見えた。
『ハイ!!』
伶菜と呼んでもらえた私も頬を紅くしながら、声が裏返えらないように元気よく返事をした。
「じゃ、メロンパン屋へ行こう。」
日詠先生は抱っこしている祐希に向かって小さな声でそう話しかけ、メロンパン売り場に歩き始めた。
私も彼らに遅れをとらないように必死について行く。



