【Hiei's eye カルテ22:重みを感じる右腕と体温を感じる左手】



「日詠先生、伶菜の息子・・祐希の退院の日、決まったみたいです。」

『今週の日曜日、ですよね?』

「ご存知だったんですか?」

『東京の病院から連絡貰ってるから。』


伶菜の親友という存在らしい杉浦さん。
彼女が子宮がん検診の結果を聴くために俺の外来診察へ訪れてから暫く経ったある日、彼女から俺に電話がかかってきた。

彼女が訪れてくれた外来診察の際に ”また退院日が決まったら相談しよう” という約束をしていたからだ。



「お休み取れたんですか?日曜日。」

『まあ、なんとか。』

奥野さんのところにも情報が入るから、勤務予定が入っていても、”外来診察日じゃないでしょ、はい、休み” と無理矢理交代させられた。


「じゃあ、付き合いますよ。私、日詠先生に、ナンパされましたから。」


ナンパされたというのも微妙な表現
そんなつもりではなかったものの否定はできない
俺が付き合って下さいと言ったのは間違いないから




『・・・助かります。それでなくては、伶菜も遠慮しそうだから。』

「そうそう、伶菜は押して、押して、押し捲くらないと動かないですから!!!!!」

『ハハハ。』


それでも、彼女が一緒に来てくれることは俺自身も心強いことは確かだ
伶菜には伝えていないけれど、今週の日曜日は東京まで伶菜達を迎えに行く

でも、それだけじゃ終われない
どうなるかは伶菜次第だけれども・・・