『マズイな。』
強風に煽られても前へ進むのをやめない彼女。
偶然なのだろうか?
彼女が今、丁度立っている場所こそ、俺にとって特別な場所
俺にとってかけがえのない大切な命が消えた場所
苦しくて
哀しくて
寂しくて
その時の記憶が鮮明に蘇ってきて
今までも同じような想いに苛まれることは度々あった
そんな俺を支えてくれていたのは
心の中にずっと棲み続けた彼女の存在
『・・・・ようやく捜し出したんだ』
そんな彼女までこの世から消えてしまったら
それこそ俺はもう立っていられないだろう
この場所で
そしてこの世でも・・・
『頼む、連れていかないでくれ・・・』
伶菜の両親
時期は異なるものの、病死にて亡くなった彼ら
彼らはとても大切に、そしてとても愛していた彼女のことを道連れなんかはしない
そう信じたい
でも、愛していたが故に道連れにしようとするのならば
俺がなんとしてでも阻止してやる
『死のうっていうなら、好きにすればいい!!・・・でも』
もし目の前にいる彼女自身が
彼らに道連れにされることを望んでいたとしても
『でも・・・俺はお前のお腹の子をなんとしてでも・・・なんとしてでも 救うから!!!何度、お前が死のうとしても・・・・俺は何度でもその子を・・・お前を・・救うから!!!!!』
俺はなんとしてでも阻止してやる
伶菜とお腹の子供の未来を拓くために・・・・



