ラヴシークレットルーム Ⅰ お医者さんとの不器用な恋



『マズイな。』

強風に煽られても前へ進むのをやめない彼女。


偶然なのだろうか?
彼女が今、丁度立っている場所こそ、俺にとって特別な場所
俺にとってかけがえのない大切な命が消えた場所


苦しくて
哀しくて
寂しくて


その時の記憶が鮮明に蘇ってきて
今までも同じような想いに苛まれることは度々あった

そんな俺を支えてくれていたのは
心の中にずっと棲み続けた彼女の存在


『・・・・ようやく捜し出したんだ』


そんな彼女までこの世から消えてしまったら
それこそ俺はもう立っていられないだろう

この場所で
そしてこの世でも・・・


『頼む、連れていかないでくれ・・・』


伶菜の両親
時期は異なるものの、病死にて亡くなった彼ら
彼らはとても大切に、そしてとても愛していた彼女のことを道連れなんかはしない
そう信じたい

でも、愛していたが故に道連れにしようとするのならば
俺がなんとしてでも阻止してやる


『死のうっていうなら、好きにすればいい!!・・・でも』


もし目の前にいる彼女自身が
彼らに道連れにされることを望んでいたとしても


『でも・・・俺はお前のお腹の子をなんとしてでも・・・なんとしてでも 救うから!!!何度、お前が死のうとしても・・・・俺は何度でもその子を・・・お前を・・救うから!!!!!』



俺はなんとしてでも阻止してやる

伶菜とお腹の子供の未来を(ひら)くために・・・・