いきなりこんな相談を持ちかけられて、さすがの真里も困るよね
私が真里だったら、きっと答えてあげられないもん
ごめん、真里
こんなとこまで来てくれたのに、厄介な相談を持ちかけて
そう謝ろうとしていた矢先だった。
「どうしたらいいかわからないって・・・キツイ言い方かもしれないけれど、それはアンタが決めるコトでしょ?というか自分で決めなきゃダメだよ。アンタが再び人を信じることができるかどうか神様がアンタを試してるんだよ・・・きっと。」
真里はいつもの彼女らしく毅然とした態度で私にそう言ってくれた。
「それに、私ががん検診に行った時、日詠先生と一緒にいた小麦色の肌をしたベテランそうな看護師さん・・・先生が手を洗いに行ってる隙に彼女が私に日詠先生の事を話してくれたの・・」
小麦色の肌のベテランそうな看護師さん???
『真里!その看護師さん、左利きじゃなかった?』
私は思い当たる人物を確かめるため勢いよく彼女にそう問いかけた。
「左利きかどうかなんてわからなかったけど、あっ、海に潜っても大丈夫そうな頑丈そうなカッコイイ腕時計を右手にはめてたな。ゴールドなんてスポーツタイプの腕時計じゃあまり見かけないカラーだったから気になったんだよね・・・しかも右手にはめてたから。」
海に潜れそうな頑丈そうな腕時計を右手にしてた・・・・?!
もしかして、福本さん???
そういえば名古屋で入院してた時に健康的ね小麦色の肌ですねって福本さんに話しかけたら
休暇が取れたら、短期間なら伊豆の海に、長期間ならオーストラリアにダイビングに行くって教えてくれたっけ
そうだ、福本さんに違いない、その看護師さん
『真里、その看護師さん、何を教えてくれたの?』
真里は私にそっと微笑みかける。
「”多くを語らない人だけど日詠先生は本当に伶菜ちゃんのコト、大切に想っているのよ”って・・・それでこれを伶菜に渡して欲しいって預かってきたの。」
彼女はそう言いながら、福本さんらしき看護師さんから預かってきた茶色い封筒を私に差し出した。
それを受け取った私はそっとそれを指で開けた。
封筒の中には製薬会社の名前がプリントされたメモ用紙が三つ折りで畳まれて入っており、私は早速それを封筒から取り出して目を通した。



