ラヴシークレットルーム Ⅰ お医者さんとの不器用な恋



「で、その靴は郵送で届いたんでしょ?アタシが診て貰った日も日詠先生の外来診察は待ち時間2時間半だった位忙しそうだったから・・・」


郵送、宅配便・・・
違う
看護師さんは手術着を着た人が深夜に届けに来たって言ってたもん

さっきは私も看護師さんが見間違えたと思ったけれど、よく思い出してみると、宅配便や郵便のラベルなんか貼ってなかった


『ううん、郵送とか宅急便とかじゃなくて・・・この病院のナースステーションに緑の手術着を着た人が届けにきたんだって。』

首を横に振りながら真里の質問にそう答えた私。
私のその一言で、さっきまで意地悪そうな笑みを浮かべて真里の顔は一瞬にして凍り付く。


「その緑の手術着の人って・・・・もしかして、日詠先生がここまで直接そんな格好のまま届けに来たのーーーーーーー?」

『・・・・・・・』



真里は私が日詠先生本人に聞くことができずにいたその質問をいとも簡単に口にする。
そして彼女は顎を右手で押さえた暫く黙ってしまう。
私も反応できないまま自分の口を左手で押さえていた。

こんな状況の中、沈黙を破ったのは、やっぱり真里。


「アンタ、日詠先生となんかあった?・・・だって、普通、主治医だっただけでなにもそこまでしないでしょ?それにアンタ、ずっと前、日詠先生のコトをスキになったみたいなことにおわせてたしね・・・・・」


日詠先生と私が兄妹だったという関係を
誰が聞いても不可解な関係を
真里に話してもいいのかな?

でも
真里は私の為に
わざわざ自分から日詠先生の診察日に子宮がん検診を受けに行って
顔すら知らなかった彼に私の事を話したり
忙しい中、こうやってはるばる東京まで私に会いに来てくれたり・・・・

そんなにも私の為に手を尽くしてくれている真里に
突然降って湧いた私と日詠先生の不可解な関係だけど
それを黙っている訳にはいかない・・・

これから自分はどうしたらいいのか相談しようと真里にメールを送ったのは、他の誰でもないこの私なんだから



『私・・・日詠先生の・・・妹だったんだって・・・・』

「えっ、?い・も・う・と????」


私からの突然な告白に、さすがの真里も驚きを隠せず、顎に当てていた右手で口を塞いだ。