『うん、全く同じ靴だった。なんで?』
「なんでって・・・私がどうやってアンタの主治医にその靴が置いてある店を教えたか知りたいんでしょ?」
『・・・・うん。』
私は自分でも頬が紅く染まっているのがわかる。
そんな私を見た真里はニヤリと意地悪な笑みを浮かべる。
「だって、私の主治医でもあるんだもん!日詠先生は!」
『主治医って・・・なんでーーーー?』
驚きを隠せなかった私は病院中にこだまする位の大きな声をあげてしまっていた。
「フフっ!私、子宮がん検診を日詠先生の外来診察日に受診したの!その時に伶菜の話をしたんだ。」
『ど、どんな話、したの?』
私は居ても立ってもいられずに真里の左袖をグイグイと引っ張る。
「なんで伶菜がわざわざ東京に行かなきゃいけなかったのか教えてって聴こうと思ったんだけどさ、患者のことは喋れないオーラ出し捲くり。」
そりゃ、そうだよ
突然、子宮がん検診で来た患者に他の患者のことを言わないよね?
「だったら私は一方的に伶菜のコトを言えばいいと思って、ベビー靴のコトも言ってやったんだ!そしたらさ・・・」
『・・・そしたら?』
言葉の続きを話すのをもったいぶっている真里は可笑しくて堪らないようで、クククッと笑った。
「そしたらね、突然、目をキラリとさせたの、日詠先生。あっ、これはそのベビー靴を買いにいくなって直感で思ったんだよね」
目がキラリ?!
日詠先生が?!
「で、日詠先生ってば、自分から ”それはどこに売っているんだろう?” って呟いて・・・もう売れちゃっているかもって呟き返したら、顔がマジ、焦ってて・・・・こっちが驚いたわ。」
『・・・・・・』
真里と日詠先生のやり取りを耳にした私は、唖然として言葉もでなかった。