【Reina's eye ケース21:姉御達の粋な計らい 】




「よっ!伶菜!祐希は順調?」

『うん、おかげさまで。遠くまでありがとね。』


祐希の手術が終わってから初めて迎えた日曜日。
親友の真里が名古屋名物手羽先を手にしながらお見舞いに来てくれた。


「伶菜も元気そうだね?でも大変だったでしょ?」

『うん、祐希の手術とかもあったし。でも祐希が順調だから助かってる。でね・・・・』

「ん?でね・・その先は?」

『・・・・・・・・・』


私は真里に相談したかったのは ”今後の私のコト”
それをどういう風に切り出したらいいのか思いつかず、なかなか言葉を出せずにいた。


「あれ?何言うか忘れちゃったの?伶菜ってば・・・寝不足?まあ、また思い出したら言ってくれればいいよ。そういえば、伶菜、ずっと前にアンタが欲しがっていたベビー靴、手元に届いた?」

あっ・・・あの空色のベビー靴
日詠先生から貰ったんじゃなくて真里からだったんだ

そうだよね
日詠先生、私があの靴を欲しがっていたことなんて、知らないはずだモン

でも、届けてくれたのは手術着姿の男の人だって聞いたけど、夜中だったみたいだし、看護師さんが宅配便を預かった守衛さんと見間違えたかな?


『うん!届いたよ!真里からだったんだね?ありがと・・・祐希が歩くようになったら一番最初に履かせるからね!』

私が靴をプレゼントしてくれたと思い込んだ相手の真里は突然、彼女の頭を激しく掻き揚げた。


「本当に届いたんだ・・・・あの靴ね、私が届けたんでも買ったんでもないの。」

『えっ?どういうこと?』

「私はただ、アンタの名古屋の病院の主治医に、あの靴が置いてある店の名前を教えただけなの・・・どのメーカーの靴とかは教えてないんだよ!!!!!手元に届いた靴、アンタが欲しがってた靴だった?」


真里は買って来てくれたわけではなく、店を教えただけ?
やっぱり日詠先生が買って届けてくれたんだ

でも私の欲しがっていたベビー靴、彼はなんでわかったんだろう?
それに、真里はどうやって彼にあの靴が置いてある店を教えてあげたんだろう?