ラヴシークレットルーム Ⅰ お医者さんとの不器用な恋





『いいです。私、ゴハン食べなくても、点滴してるし・・・先生、今から帰れば名古屋行きの新幹線の終電に間に合うからゆっくり自宅で休めるよ!明日、お昼から出勤すればいいんでしょ?だから早く名古屋へ帰ってゆっくり休んで!!』

こんなお腹の底から出した声、久しぶり。
それを聞かされた日詠先生はというと、拍子抜けした顔で私をじっと見つめ、暫くしてから大きな声をあげて笑った。


『・・・・・・・?』

そんな彼を私は初めて見る。
顔をクシャクシャにして大きな声で笑う日詠先生を。


「ゴメン。こんなに笑っちゃって・・・俺、ここまで高速道路を走ってきたし・・・それに俺・・・」

『それに・・・?』

笑いが収まらない様子の彼は肩で息をしていて、そのせいか続きの言葉がなかなか出てこなかった。


「それに、俺、明日の出勤・・・午後1時じゃなくて午前1時だから・・・・」

『えっ?』



やだ、私・・・・・
明日午前1時を明日午後1時と勘違いしていて

先生も先生だよ

今、高速に飛び乗っても午前1時までに名古屋なんて思いっきりギリギリじゃない・・



『なんで・・なんで先生はそんなにも無理するの・・・?』

私は頭の中に浮かんでいたその言葉をつい口にしてしまった。
私と向き合ったままの日詠先生はというと、屈託のない笑顔を見せながら、ゆっくりと口を開く。


「キミは俺にとって・・・・」


キミは俺にとって
その後、何?

口は動いてるけど、音が聞こえてこない



『えっ、先生、もう1回言って!』

彼ははにかみながら、大きく口を開きそれを動かし始めた。