祐希・・・・ちゃんと生きてる
生きてる
こんな小さな身体で何時間も手術を受けて
本当によく頑張った
こんなにも多くの人達の手によって繋がれた生命を
大切にしないといけないね
こんなにも多くの人達の手によって繋がれた今を
感謝しなきゃいけないね
祐希が私のもとへやってきてくれたおかげで
私・・・・・
生命の大切さや
人と人との繋がりのありがたさを
初めて知ることができたんだよ
本当に初めて知ったんだよ
「お母さんもよく頑張ったね。やっといい涙を見せてもらう事ができたよ。」
『・・・ありがとうございます。』
「このまま順調にいけば、あさってにも集中治療室を出て、一般病棟に移ることができそうだ。そしたら、お母さん、祐希クンのすぐ傍で付き添いをしながら名古屋の家へ帰る準備をして行こう!」
感極まって涙を流してしまっていた私に東京の日詠先生は優しく丁寧に言葉をかけてくれた。
『・・・・ハイ!』
私は両目を指先で覆いながら、元気良く返事をした。
「いい返事だ!一緒に頑張ろうね!」
東京の日詠先生は笑顔で頷いたまま祐希のベッドから離れて行き、先生と祐希を取り囲んでいたお医者さん達も先生の後を追うようにその場を後にした。
『よく頑張ったね。』
私は祐希の小さな手を再び握り、彼の顔をじっと見つめた。
周りに人がいなくなったせいか、彼は目を閉じ眠り始めた。
手術前と比べると顔色が良くなった彼の寝顔を見た私はようやくゆっくりと息をつくことができた。
『これからも治療、大変だと思うけれど、一緒に頑張ろうね、祐希』
私は彼の手を自分の頬に当てたまま心の中でゆっくりとそう呟いた。
そしてこのままゆっくりと眠らせてあげたいと思い、私も祐希のベッドを後にした。