1ヶ月前に走ったばかりの東京に向かう道。
その時は後先考えることなく走り始めた真夜中のドライブ。
でも、今回。
奥野さんに背中を押してもらったのは事実だが、”行くぞ” という自分の意志をちゃんと心の真ん中に持ってハンドルを握っている。
前回の助手席のシート上には、出産祝いのベビー靴が入った紙袋が載っていた。
今回の助手席にも、その時とは異なる紙袋が居場所を陣取っている。
その紙袋のすぐ横には奥野さんから貰ったミントガムも。
『奥野さんの忠告通り、夜勤明けの昼間ってどうしようもなく眠い。』
眠気覚ましに・・・と手に取ったミントガム。
高速道路運転中のため、両手をハンドルから放すことができず、その開け口の紙紐の端を歯に挟んで開封。
アルミの包装にくるまれたガムを左手の指だけで取り出し、そのまま口の中へ放り込んだ。
『効果100倍って間抜けなコピーだけど、中身も文字通りハンパない。』
普段、眠気覚ましにミントタブレットを平気で5~6粒口へ放り込む俺でも、このガムの表記は間違っていないと思えるほどの強烈なミント味。
そのおかげもあってた俺はすっかり眠気がふっ飛んだ俺は前回よりも少ない休憩回数で東京まで辿りついた。



