【Reina's eye ケース15:声が聴きたくなったのはアナタのせい?】



部屋のドアの取手にかけられていた紙袋。
その中に入っていたのは新品のベビーシューズと手作りのジグソーパズル1ピース。
その送り主が誰なのかを確かめたい私は慌てて自分の病室へ入り、照頭台の引き出しにしまってあった携帯電話を手に取る。
そして、ズキズキ痛むお腹の手術の傷を左手で押さえながら、携帯電話の圏外マークが消える場所を探して必死に歩いた。


ミン、ミン、、ミン、、、ジュワワワーーーーーーーーーーーーーー


蝉の声が耳元でこだました瞬間に足元から感じた熱気。
気がついたら私は病院の外まで出てきていた。
携帯のアドレス帳で ”な” 行を探すも、先走る気持ちのせいで手元が定まらず、探しているアドレスをなかなか見つけられない。


落ち着け
落ち着こう・・・・・私

大きな深呼吸を1つして再び ”な” 行を探す。


『な、な、名古屋南桜総合病院・・・あった!』

私はようやくそのアドレスを見つけ通話ボタンに指をかけた。


プルルル・・プルルル・・・・・




「ハイ。名古屋南桜総合病院です。」

受話器の向こう側から聞こえてきたのはハキハキして爽やかな女の人の声。


『あの、ひ、ひ、、日詠、、先生・・・・お、お願いできますか?』

病院の代表電話番号にかけたにもかかわらず、すぐに日詠先生につながると勝手に思い込んでしまっていた私。
いきなり聞こえてきた女性の声に驚き、どもってしまった。


「日詠は・・・産科の日詠でよろしかったですね?只今、お繋ぎしますので、そのまま、暫くお待ち下さい。」

その女性は言葉をどもる私とは異なり、流暢な語り口。
そして、その声はすぐさま ”星に願いを” のオルゴール音に変化した。



ポロポロポロローン、、、ポロポロポロローン、、ポロポロ・・・



今度こそ、日詠先生が電話に出るんだ

あっ、なんて言えば
なんて聴けばいいんだっけ?

ヤだ、私
頭、真っ白

あっ、どうしよう

どうしよう・・・・



「ハイ、産婦人科・・・・」