『先生?もしかして・・・違ってたらすみません。』
「ん?どうしたかな?」
『先生は・・・名古屋の病院で私の主治医だった産科の日詠先生と何か関係がありますか?』
今、自分の目の前にいる日詠という名前の先生は
超音波の器具を操作する手を再び止めた。
さっき彼が手を止めた後、彼の口から出てきたのは
私の緊張をほぐそうとする、そんな言葉だった。
でも、私が彼に答を求めている今、
さっきとは異なり、彼から緊張が伝わってくる。
その証拠は彼が持っていた検査器具を超音波の本体に差し戻したこと。
超音波の画面の光が彼を照らす位置関係になっていたせいで
彼がゆっくりと目を閉じたのがわかる。
その後、しばらくして意を決したのか
目をぱっと開いたのも
そしてなにかを語り始めようと口をかすかに開いたのもわかった。
きっと答えてくれる・・・この先生なら私の疑問にも
そう確信した瞬間だった。
「・・・ああ、彼の父親だ。」



