ラヴシークレットルーム Ⅰ お医者さんとの不器用な恋



先生の手が止まった・・・

異常があることはわかってる
なにか良くないことがまたみつかったのかな?

ここまで来てもらったけれど
胎児の病気は重度で残念ながら助かりませんとか

そんな結果が見つかったの?



「名古屋か・・・やっぱり味噌汁は赤味噌だよね?八丁味噌!おいしいねえ・・・どて煮。どて煮食べながら飲むビールはたまらないね!」

検査結果の行方が気になってしまう私は、先生の予想外の言葉に、またもや気持ちが少しラクになった。



そういえば、さっき、先生が自己紹介して下さってたな
名前、なんて言ってたっけ?

名札もついてないし・・・

私は暫く黙ったままなんとか先生の名前を想い出そうとしていた。



「高梨さん?」

黙り込んでいた私が気になったのか、その先生は診察室内の照明を少しだけ明るくしながら私の名前を呼んだ。


『あっ、ハイ。すみません。』

「ゴメン。僕、いらんこと言っちゃったかな?赤味噌とかどて煮とか・・・昔、名古屋に住んでたからつい・・・・」

その先生は申し訳なさそうに私に謝ってくれた。


『違うんです・・・先生、私、先生の話で緊張までも解れたんですよ。私こそ黙っちゃってすみません。さっき、緊張していて先生の名前、聞き逃したって思っていたら、つい黙っちゃって・・・スミマセン。』

私はお腹を出してベッドに横になったまま、先生に正直に謝った。




「そうだったの?なーんだ。僕の名前はね・・・日詠って言うんだ。」

『ヒ、エ、、イ?』

「そう、ヒエイだよ。珍しいでしょ?」



日詠先生と同じ苗字
名古屋に住んでいた過去あり
そして、
あの優しい微笑み・・・


もしかして

もしかしてだけど・・・