ラヴシークレットルーム Ⅰ お医者さんとの不器用な恋




病院の総合受付付近に掲示してある院内地図で産科の場所を確認し、私は再び歩き始める。
産科に着いた私は日詠先生から受け取った紹介状を産科受付に出し、待合室の桜色のベンチに腰掛けた。

産科の待合室。
名古屋の病院とは異なり、完全予約制であるせいか妊婦さんの姿はまばらでゆったりとした雰囲気を醸し出している。


『私みたいに異常ありな人、いなさそう・・・・』


ここで診察を待っている妊婦さん達はお腹の中の赤ちゃんの心臓のコトなんか気にすることなく、ただ純粋に早く赤ちゃんに会いたいと思っているんだろうな

私は他の妊婦さんの事情なんか全く考える事なく、一人で勝手にそう思い込み溜め息をついた。


なんで
なんで私の赤ちゃんの心臓に異常があるの?

私・・・何か悪いコトやった?
バチがあたるようなコト・・やった?
なんで、私の赤ちゃんだけ?

なんで?


「高梨さん、高梨伶菜さん。診察室1番にお入り下さい。」


頑張ろうって心に決めたのに、いざ現実を目の当たりにして自分の置かれた現状に悲観的になっていた私。


「高梨さん?大丈夫ですか?」

『あっ、ハイ。』

「診察室へどうぞ。」


看護師さんには何度か声をかけられていたみたいだったが、それにも気がついていなかった。


私はこの病院で初めて会う医師が自分をどう受け入れてくれるのか不安に思っていたせいか、全身が緊張にてこわばってしまい、診察室へ向かう足取りはかなり重かった。

そしてやっとのことで診察室のドアを開けた。