心臓血管外科と産婦人科という畑違いの診療科
しかも、東京と名古屋という離れた都市
心臓血管外科を専門としている日本最高峰の医大の第一外科教授と一介の産婦人科医師
一人前の医師として認めてもらっているとは到底思えないのに
この人とこういう形で繋がるなんて、ついこの間まで考えることなんてなかった
情報提供書の特記事項でお願いしたこともちゃんと受け止めてもらえた気がして、
「やっぱり、天国から見守ってくれているあの人の計らいかもしれないな。」
もしかしたら、医師として力不足な自分でも、少しは伶菜の役に立てたのかもしれないと
俺は久しぶりに胸を撫で下ろした。
伶菜の主治医としての最後の仕事を終えてしまった今、自分にできること
それは
伶菜と胎児
彼女らの無事を祈ること
彼女らの成長を祈ること
そして
彼女らの幸せを願うこと
一人の人間として
ただひたすらそれらを
日々続けるだけ
自分がずっと大切に想い続ける相手・・・伶菜に対して
きっとそれが今の自分にできることなんだろう
そう想うことしかこの時の自分にできることはなかった。



