ラヴシークレットルーム Ⅰ お医者さんとの不器用な恋



「内容ならびに誤字・脱字の有無も確認しました。日詠先生、大丈夫です。」

『ありがとうございます。早速、送信します。』

「伝わるといいわね。今までの色々な想いも。」

『そうですね。例えほんの少しでも。』


随分前から俺の個人的な事情を知っている福本さんがまた目を潤ませる。

いつもは俺をイジることを楽しんでいる彼女。
彼女らしくないその空気に俺は当たり障りのない返事をするのが精一杯だった。


『それじゃ、送ります。』

俺はしんみりとしかけた雰囲気に飲み込まれないように自分がやるべきことをしようとメール送信欄にポインターを合わせ、マウスをクリックをした。


そのメール送信先である東京医科薬科大学附属病院にメール送信した数時間後。
俺の病院用PCアドレス宛の新着受信メールボックスに届いていたもの。


【送信先】東京医科薬科大学附属病院 心臓血管外科

【件名】医療情報提供書について

【本文】

名古屋南桜総合病院 
 産科 医師 日詠 尚史 先生 御侍史

この度は、高梨 伶菜様のご紹介ならびに医療情報提供書のご提供をして頂き、ありがとうございました。
近日中に入院される運びとなりましたのでご報告致します。

上記患者様の身体ケアはもちろんのこと、メンタルケアに対しても丁寧に対応していきたいと考えておりますので、今後も貴院と連携を図りながら治療を進めていきたいと考えております。
何卒、宜しくお願い申し上げます。


東京医科薬科大学 心臓血管外科      
              



それは医療情報提供書が届いたという返信メール。
最後に記入されていた直筆の氏名に胸が詰まるような想いがする。

俺にそうさせているのは、見覚えのある筆跡。