ラヴシークレットルーム Ⅰ お医者さんとの不器用な恋




『泣いてなんか、泣い、、てなんか、いない、よ・・・・・』

私はそんな真里の声を聞いて泣いてしまいそうだったが、頑張って赤ちゃんを産むと決めたから泣くのを必死に堪えた。


『泣いてなんかいないよ!私、この子を助けてもらう為に、その為に東京まで来てるんだから!』

私は自分に言い聞かせるように強い口調でそう言った。
それなのに電話の向こうでは真里は泣き始めている。
今までの彼女には涙なんてあり得なかったのに。


心は優しいけれど、少々気の強い真里
そんな真里が泣いている

泣きそうになっていた私の涙はすっかり何処かへ飛んでいってしまい、真里の事のほうが心配になってしまった。


『真里、大丈夫?泣いてるの?』

「伶菜、アンタ、アタシの心配してる場合じゃないでしょ!」

泣いていた真里は私のその一言を聞いてすっかりいつもの彼女に戻っていた。


『そうだけど・・・でも真里が泣いたとこに出くわしたことなかったから・・・なんで泣けちゃったの?』

「そりゃーアンタ、赤ちゃんの心臓がって言われてびっくりして・・・アンタが必死になって涙を堪えているのが切なくなったからさ・・・どうせまた、私に心配かけたくないって元気なんぞ出してみたんでしょ?そんなことされたら、なんか泣けちゃってさーー」

真里に余計な心配をかけないように元気な声を装っていたけれど、不完全な私の演技は彼女には全く通用しておらず、やっぱり彼女にはすべて・・・・お見通しだった。