電車の乗員、乗客が危険に晒されるかもしれないその無責任な行動に
そして何よりも自らの命を粗末にしようとしているその行動に
怒りを堪えることなんてできなかった。
そんな感情が俺の中で湧き上がりながらも、自分の体は前に飛び出していて
気がつけば俺はこの手で彼女の手を強く引き
そして、この腕で彼女を抱きかかえていた。
腕の中でガクガクと震える彼女。
汚れた彼女の口元をハンカチで拭いながら、その表情に目をやった俺は思わず息を呑んだ。
そして自分の覚醒状態を疑う。
・・・・・これは夢なのか?
それとも
・・・・・現実なのか?
今、自分の腕の中にいるのが
ずっと捜し求めていた彼女だったから。



