「伶菜ちゃん………伶菜ちゃん………」
私はやや声の低い落ち着いた女の人の声で目を覚ました。
真っ先に目に飛び込んできたのは白い天井。
靄がかかったような視界の中へ次に飛び込んできたは
私の顔を心配そうに覗き込む産婦人科病棟の看護師である福本さんの顔だった。
驚いた私は寝ていたベットから跳び起きたが、左腕に挿入されている点滴の管にからまれて身動きがとれない。
「うなされてたけど、目、覚めた?」
福本さんは絡んでしまった点滴の管を解きながら私に声をかけてくれた。
『・・・ハイ・・・私・・・』
「大丈夫よ、ちょっと貧血気味だったみたいね。ちょっとこのまま横になっていてくれるかしら。」
私は福本さんの声かけに素直に応じベットに横たわる。
そして彼女は私の腕から点滴の針をそっと抜き取り、布団をかけ直してから診察室を後にした。
窓の外はもう真っ暗で、診察室の壁掛け時計は既に夜の8時を回っていた。
私は窓から差し込む月のあかりをボンヤリと眺める。



