『だって・・・先生、私に言ったじゃない!!!! 俺が何度でも、なんとしてでも助けるって!』

私は叶わない恋とわかっていても
自分が好意を寄せている相手でもある彼に・・日詠先生に
遠慮のない口調で訴えてでも、なんとかして私の傍で見守っていて欲しかった。




「そうだ・・・・確かに俺はそう言った。」

『じゃあ!!!!!』

「でも、ここじゃ無理なんだ・・・・君のお腹の中にいる子供の心臓の手術ができる腕を持つ医者がここには・・・いない。」

『・・・子供の心臓の手術って?』


私は彼の突然の言葉に驚き、か細い声で彼に問いかけた。



「超音波検査で子供の心臓の異常が見つかったんだ。」

『・・・うそ・・・・嘘よ!』

日詠先生はまた目を閉じたまま首を横に振った。



「嘘なんかじゃない。」

『でも・・・でも子供の心臓の手術は産まれてきてからでしょ?産むのは先生にお願いしたっていいんじゃ・・・』

日詠先生は厳しい表情をしたままで決して首を縦に振ろうとはしなかった。


『なんで?・・・・先生は、どんな難しい手術でも、その手を使って、その神の手を使って手術できちゃうんでしょ?なのになんで?』

産科医師に子供の心臓手術ができないことくらいわかっている。
それなのに私はみっともない位、日詠先生に当り散らしてしまった。