僕の恋は、叶わない。四葉さんは隣のクラスの早坂未来(はやさかみらい)と付き合っている。一年生のバレンタインの日から……。

早坂未来は、野球部に所属していてクラスの中心にいるような人間だ。僕とは正反対。いつも誰かを笑わせて、四葉さんと早坂未来はこの学校の公認カップルだ。勝ち目なんてない。

いつも諦めようとして、そのたびに四葉さんの優しさに触れて、また恋に落ちることを繰り返してきた。

僕は、自分のスマホを取り出してベゴニアの花言葉を調べる。愛の告白、親切、幸福な日々……。

僕はため息をつき、悲しみで満ちた胸を押さえる。ベゴニアは四葉さんにぴったりだ。なら、僕にぴったりな花言葉は何なんだろうか……。

「クロッカス……。愛の後悔……」

確かにその通りだ。もっと早くこの気持ちに気づいていれば、こんな悲しい結末ではなかった。

僕はシャーペンを強く握る。そして、思いついた詞をノートに書き始めた。


ありがとう 優しくしてくれて
ありがとう この気持ちを教えてくれて
まだ胸は痛み続けるけど
君が幸せに笑ってくれるなら……
君の好きな人は僕じゃなくて
君にとって僕は単なるエキストラ
時間だけが過ぎ、君を好きだと気づき
伝えようとした時には
物語は終わりを告げていた
シンデレラの手を取ったのは