キミは、友達じゃない。

突然のことに、その肩をビクッと震わせてしまう。


「あ、ごめん。驚かせちゃったなっ?」

「え、あ……大、丈夫」

……突然声をかけられたことについては全く問題はないのだけれど、いつまでも肩に回されている彼の手が気になる。

距離感があまりに近すぎて、ちょっと戸惑ってしまう。


「……ま、松永君。ごめん、手、その……」


私がそう訴えると、彼は「ああ。ごめん、ごめん」

と言って、肩に回していた手をどかしてくれる。

離れてくれて、少し安心した。距離感が近すぎることに困惑したというのも勿論あるけれど、多分目の前に篠原君がいる状況だったから……尚さら離してほしいと思ってしまった……。


そんな訳で、三人で帰宅することになった。
と言っても、二人は電車通学、私は徒歩通学なので、私が二人と一緒に帰るのは駅前までだけれど。
いつも部活終わりは大抵一人で帰るから、三人でこんな風に下校するのは初めてだ。


しかし、もう一人。校門前で私を待っている人物がいた。


「みずほー。遅ーい」

「か、香⁉︎」

まさか待っているなんて思っていなかったから、さっき松永君に声をかけられた時と同じくらい、いやもしかしたらそれ以上に驚いてしまった。


「ど、どうしたの⁉︎ いつも、帰りは別々なのに」

「まあ、たまには一緒に帰りたいなと思ってさ! どうせ私も部活終わる時間、バスケ部と大体一緒だし」

「メッセージくれてたらもっと早く来たのに」

「せっかくだからびっくりさせようかなーと思ってさ。と言ってもほんの十分くらいしか待ってないけど」