え? と思わず瞬きを繰り返してしまう。このお誘いは予想していなかった。

それと同時に、篠原君の視線をチラッと感じた。
すぐに逸らされたから、気のせいだったかもしれないけれど。


「えっと……じゃあ一緒に行く?」

「マジ⁉︎ 嬉ーー」

「香と、三人で」

「……はい?」


夏祭りの日は部活が早目に終了になると結先輩に聞いてすぐ、香と連絡を取り合い、一緒に夏祭りに行く計画を立てていたのだ。


「えっと、香っていうのは私の幼馴染みの女の子で、C組の子なんだけど……やっぱり、女子二人と夏祭りなんて嫌だよね? でも、私は香が先約だから……」

「あっ、いや! 行く行く!」


若干引きつった顔をしながらも、ブンブンと顔を縦に振る松永君。

正直、松永君と二人きりで夏祭りに行ったりしたら、彼に対して思わせぶりのようになってしまう気がした。
女子にモテモテの彼が私のことを好きでいてくれているなんて未だに信じられないのだけれど……。

とりあえず、香も一緒なら夏祭りに行くのは問題はないだろう。


「あ、そうだ。篠原君も一緒に行かない?」

そう聞くと、突然話を振られた篠原君は「は?」と目を丸くさせた。
しまった。急に誘われても困るだけだったかな。でも、松永君も男子一人よりは篠原君が一緒にいた方が楽しいと思うし……。


「……あ、でも、そっか。もしかしてさっきの女の子とお祭りにーー」

「そ、それはもう断ったから。そもそも、部活がなくてもあっちは断るつもりだった」

「じゃあ……良かったらどうかな? ダメかな?」

恐る恐る誘うと、「……ダメって訳ではないけど……」という答えが返ってくる。


「良かった。じゃあ、また待ち合わせの場所とか時間とか決めようね」