「デ、デートって、その……」

「駄目かな? 俺、みずほともっと仲良くなりたくてさ」


そ、そりゃあ仲良くなりたいのは私も一緒だけど、女の子同士で休日に出かけるのとは意味がまるで違うし!


でも、何でだろう。首を横に振らない自分がいる。



再び視線を合わせられなくなり俯いていると、松永君が私の本を取り上げた。

そしてなぜか、その本で私の左側の視界を覆う。

廊下側の席のため、目の前の松永君しか見れなくなる。

心臓が再びドキドキ言い始めるよりも先にーー松永君の唇が、私の頬に触れた。


……え?



「じゃあ、デートの時間と場所はまた連絡するね」

囁くようにそう言うと、松永君は私達の顔を隠していた本を机に置き直し、にこにこと笑いながら教室から出ていった。

この本は、キスするのをクラスメイト達から隠すためだったのか……って!


キス⁉︎
キスされたの、私⁉︎



突然すぎる出来事に、頭の中はパンク寸前だ。
心臓も、痛いほどにうるさい。


デート……一体どうなるの⁉︎