そんなことを悶々と考えながら、カップの残量を確認していると。


「君、可愛いね〜」

「メイド服、萌えるね〜!」


屋台にお客さんが二人、やって来た。
……でもちょっと、金髪でピアスやアクセサリーがジャラジャラ着いた、チャラい感じのお兄さん達だ。


明らかに苦手なタイプの人達だけれど、

「い、いらっしゃいませ」

と、笑顔で対応した。
すると。


「一年生だよね? 彼氏いる?」

「え?」

「当番、何時まで? この後、俺らと一緒に回らない? 案内してよ〜」

「え、え」


どうしよう。絡まれてしまった。

松永君にちらりと視線を向けるも、彼も彼で女の子達に囲まれていて、私が絡まれていることなど気付いてもいなかった。


「ねえねえ、いいでしょ? 何なら、当番なんかばっくれて、今から行っちゃう?」

そう言うと金髪のお兄さんは、私の右腕を強引にグイッと引っ張る。


「痛……」


その痛さに思わず顔を歪めた、その時だった。



「こいつにちょっかい出すのやめてもらっていいですか?」


篠原君が、姿を現した。


彼は、私の腕を引っ張るお兄さんの手首を、ギリッと掴んでいる。


「っ、何だよお前!」

「くそ、もう行こうぜ。あっちにもっとノリ良さそうな女の子いたし」

「だな」


そう言うと、お兄さんは篠原君の手を振り払い、この場から退散してくれた。



「篠原君……あ、ありがとう」