中学の文化祭とは規模が違い、華やかで賑やかな雰囲気にやや圧倒されつつも、様々な催しがとても楽しかった。

当日は、各クラスで展示やお店など、自由に出し物を行なうことになっている。
うちのクラスは、中庭でタピオカ販売をすることになっている。
男子ばかりのクラスでタピオカ販売というオシャレな出し物に決まった時は驚いたけれど、今では楽しみだ。

ちなみに香のクラスではお化け屋敷、結先輩のクラスではワッフルを販売するらしい。
当日は、女子バスケ部で最近仲良くなった子達もタピオカを買いにきてくれるらしいし、時間が合えば他の催しを一緒に見て回る約束もしている。
今からワクワクしてしまうなぁ。



そうこう話していたら、もう駅が見えてきてしまった。
学校から駅までは、徒歩十分くらい。十分なんて、好きな人と一緒に歩いていたら本当にあっという間だ。



「じゃあね、篠原君。また明日」

駅の方へ入っていく道とは反対側に身体を向けながら、私は彼に手を振る。

しかし。


「あのさ」


このタイミングで急に話しかけられたから、軽く驚きつつも再び身体を彼に向き直す。



「どうしたの? あ、文化祭の話?」

「文化祭の話ではないんだけど……今度の日曜日、空いてる?」

「今度の日曜日? 部活ない日だったよね? じゃあ空いてると思う」

「……どこか行かない? 二人で」

「!」


思いがけないお誘いに、嬉しすぎて宙に浮いてしまいそうな感覚に陥った。

それって、デ、デート……ってことだよね?