話がいったん中断したことにより、しん……と沈黙が流れる。

お互いにお喋りが得意なタイプじゃないから、二人で話しているとこういう空気になることが、時々ある。

でも不思議と、気まずいとは思わないんだよなぁ。
沈黙の空気が、寧ろどこか心地良い。


……けど、とある事実に気付き、私の心臓は急にバクバクと派手な音を立て始める。



(落ち着いてる場合じゃない! 告白したことについて何か話さないと……!)



動揺する頭の中で必死に言葉を探していると、篠原君が先に口を開く。



「……さっきの言葉って」

「う、うん⁉︎」

「鵜呑みにしてもいいんだよな? あの場を収める為にああ言ったとかじゃなくて」

「う、うんっ、それは、勿論っ」

あの場を収める為にあんなこと言ったのだとしたらとんでもない悪女だ。あの場面で咄嗟にそんな嘘が吐けるほど器用でもない。それはきっと、篠原君もよく分かってくれている。


すると、篠原君が小さく、ふんわりと笑った。



「……俺も好き」



その表情と言葉に、胸がきゅんとして苦しくなった。
苦しいのに、幸せで、だけど倒れてしまいそうで。


でもやっぱり、嬉しい。




「……私達、付き合ってるってことでいいのかな?」

恐る恐る尋ねると、篠原君が「……いいんじゃないの」と答える。



「もうちょっと、優しい言い方してほしいな」

「……無理。恥ずい」