「……ほんとに?」

「本当。もし、篠原君か香かを選ばなきゃいけない状況になったとしたら、私は迷わず香を選ぶよ」

それってどんな状況だろうと、自分の言葉に思わず笑ってしまったけれど、本音だ。


子供の頃から、家族以外で一番側にいてくれた存在。
これからも一緒にいたいし、たとえ離れても大切な幼馴染みであることに変わりはない。



「……でも、もし香と恋バナが出来たら、それはそれで楽しいかも、とも思うよ。私、今まで恋なんてしたことなかったから、香とそういう話はしたことなかったもんね」

そう伝えると、香も「……うん。確かに」と頷いてくれた。
そして。



「ごめんね、みずほ。ありがとう。私、篠原とのこと、応援するから」


そう言ってくれた。



「こちらこそありがとう。ーー私、香が友達でいてくれて、私を好きでいてくれて、本当に良かったと思ってるよ。これからもよろしくね」


そう告げると、いつも強気で弱音なんて吐かない香の目に涙が薄らと溜まっていることに気付いた。