それでも、分からない所は嫌そうな顔をしながらも分かりやすく教えてくれたり。


何も話さなくても一緒にお昼食べてくれたり。


彼はとても優しい。


私は『冷たい人』から『優しい人』に
印象が変わった。


だから余計彼に惹かれた。


もっと知りたいと思った。


届かない想いだけが大きくなった。






「あんたもよくそこまで粘れるね?」


お昼休み。


唯一の親友、高橋 栞と食堂での会話。


「だって好きなんだもん。」


「はぁ。そんな青春私にも欲しいわ。」


なんて馬鹿にしたように言う栞。


栞だって彼氏いるくせに。


「そうだ!陸人にお願いしてみてよ!」


「馬鹿じゃないの?」


軽くチョップを受ける。


陸人というのは栞の彼氏。


浜松 陸人。佐久間くんの親友。


私が言ってるお願いというのは、今度行われる花火大会に誘い出そうとしてるのだ。


もうすぐ夏休みだし。