だって彼は素っ気ないくせに少し口角が上がっていたから。


大人っぽいと思った。


美しいと思った。


ただ彼に見とれた。


そんな彼に何を思ったのか、


「好きです。」


だなんて言ってしまう始末。


私は無意識に言葉を発したため、あまり記憶が無かった。


そんな状況下で彼は


「...俺、そんないいもんじゃねぇよ?」


目にかかる前髪の隙間から見えた瞳は透き通っていた。


なぜだろう。こんなにも胸がキューとなるのは。


あぁ。これが恋なんだ。


これが一目惚れってやつなんだ。


そう思った。




それから毎日私は彼に声をかけた。


「おはよう!今日は天気がいいね!」


「あれ?髪染めたんだ!かっこいいよ!」


「ねえねぇ、この問題教えてくれませんか?」


「一緒にお昼食べましょう!」


「もう夏だね~!いいなぁ佐久間くん色白だもんね。」



特に返答などはなく、私が一方的に話し掛けてるだけ。