ラストトーク〜君がページをめくる時〜

三月になれば、私たちはそれぞれの道へと旅立つ。別れの日が近づいていることに、私の心は寂しさに包まれていく。

茜ちゃんは他県の警察学校へ行き、光矢くんは東京の医大へ、智絵くんは家のトマト農家を継ぎ、誠司くんはアメリカの叔父さんのもとで働くことになっている。

私はぼんやりと窓の外を眺め続ける。その刹那、私の目から涙があふれてこぼれた。

みんなと過ごした日々は短いものだ。しかしその時間は、何よりも美しく楽しい時間だった。

泣き続ける私は、自分にできることを考える。みんなにできること。感謝を伝えられること……。

私が顔を上げると、目に映るのは描きかけの小説。私が持つ唯一の武器。

「……小説……」

私の頭の中に、ストーリーや登場人物が浮かぶ。それはまるで魔法のようだった。

私はすぐにノートを広げ、登場人物などを書き込んでいく。もう涙は止まっていた。

「みんなに、伝えたい」

真夜中の部屋に、キーボードを叩く音が響いた。



そして三月一日を迎えた。今日、私たちはこの学校を卒業する。