「ハァ〜、つらい。どうしよう…」


杏は滅多に人に自分の弱さを見せなかった。


それは小さい頃から、
体が弱いせいで周りに心配をかけたり、


好きなことを我慢したりした
思い出したくない過去があるから。


そのせいで、普段嫌なことがあったり、
つらいことがあっても


周りに弱音を吐いたりすることが減っていった。



たまに弱音を吐くことはあっても、
それは誰もいない自分が一人の時だけだった。




(そういえば、今何時…?)



ーー気がつくと、もうすぐ診察の時間だった。