まさか、と思い
もう一度ゆっくり深呼吸してみると、


その音はさっきよりもしっかりと聞こえた。



(…うそ、喘息!?
大人になってからは発作もなくて、

すっかり治ったと思ったのに…!)



急に不安になる杏。


その気持ちを煽るかのように
咳が出はじめる。


我慢しても止まらず、
一定の間隔で杏の咳が病室に響き渡る。



「ケホケホッ…」


どんどん酷くなる咳。


息を吸うたび、
ヒューヒューという音が


肺のあたりで大きくなる。



「ケホケホッ。ゴホゴホッ」