初めて知る広瀬先生の過去。
それは杏の想像を遥かに超えていた。
「明日は俺も蓮も一日研修だけど、
代わりの人が診察するからちゃんと来てね」
白石先生にお礼を言うと、
杏は診察室を出た。
病室に戻る階段をのぼっていた足が
徐々にゆっくりになり、ピタッと止まった。
今までどんな気持ちで杏に接していたのか、
これまでの広瀬先生の言葉や優しさを思い出すと、
胸が苦しくて張り裂けそうになる。
真夜中に杏を看病してくれて以来、
まだちゃんとお礼も謝罪もできていない。
それなのに明日も会えそうにない。
杏は先生との距離が
どんどん離れていく気がした。
