「コホッ、コホッ…」
緊張したのかうまく飲み込めず、
むせてしまった。
恥ずかしさや、申し訳なさから、
もう、少し涙目になってくる。
(どうしよ、いい大人がカッコわる…)
「飲み終わった?」
お構いなしに広瀬先生は聞いてくる。
でも今、顔をあげて返事したら、
涙目になってるのがバレちゃう気がして、
何も言わずコクンと頷いた。
「診察室、戻るよ」
先生はそう言うと、
杏の頭を優しくそっと撫でた気がした。
(えっ…)
「ーーじゃあ、また明日も来るように」
先生はカルテを書き終えて、
杏の診察が終わった。
「ありがとうございました」
お礼を言ってドアを締める時、
先生が誰かに電話をかけているのが見えた。
