「気分はどう?昔はイスに座るのさえ泣いて嫌がるときもあったのにな〜」



白石先生はそう笑いながら、
診察を進めていく。


診察の最後に、
何か他に気になることがないか聞かれたとき、


杏は思い切って尋ねた。



「広瀬先生の弟さんも、どこか悪いんですか…」


杏の質問に、白石先生はしばらく
黙っていたが、少しずつ話してくれた。



広瀬先生には(ユウ)君という
5才離れた弟がいて、


入退院を繰り返していたこと。



サッカー選手になるのが夢で、


白石先生も混ざり3人でよく
病院近くの公園で遊んでいたこと。




そしてある夏の日に事件は起こったこと。