日差しがやんわりと差し込む森の中を、
杏は一人で歩いていた。


暑くも寒くもない、
ちょうどいい春の日和に似ている。



しばらくすると湖の畔に辿り着いた。


穏やかな風に吹かれ、
あたりの草木がゆらゆらと揺れている。



杏は両手でゆっくりと、


そのキラキラと透き通った水を
すくって口に入れた。



(ひんやり冷たくて、気持ちいい…)


その心地良さは、杏の手から、
杏のカラダ全体へと伝わり満たされていく。




ーー遠くで、小鳥たちの鳴き声が聴こえる。