先生は再び注射器を持って 杏の左腕に触ると、 その腕が微かに震えているのが分かった。 杏を見ると目を閉じて、 必死に恐怖心を抑えているようだった。 「ちょっと冷たくなるよ」 先生はアルコールを含んだ白いガーゼで、 杏の細い腕を優しく、 ゆっくりと消毒していく。