「ゆっくり深呼吸して」 言われるがまま息を吸って吐く。 先生は聴診器を移動させながら、 静かに杏のカラダを調べている。 (なんか恥ずかしいよ。しかもこんなイケメンが先生なんて聞いてないし…) しばらくして聴診器が外されると、 広瀬先生はカルテに何か記入している。 その間も杏は下を向いたまま、 緊張と不安で視線を逸らし続けた。 静まり返った診察室で、 ペンの音が異様に大きく感じる。