(…嘘でしょ。お財布、忘れた)



言葉にならない絶望感に、
杏はその場でしばらく立ちすくんだ。



(このまま戻って、また来るなんて最悪だよ…)



気が遠くなる思いをしながら、


渋々部屋に戻ろうと
体の向きを変えた時だった。