「ごめんなさい…」 杏はただ謝ることしかできなかった。 急遽体調が悪くなった患者がいると聞き、 先生は診療時間後も杏のことを待っていた。 「じゃあ診察、始めるよ」 そう言って先生は聴診器を首から外し、 杏の胸部に当てる。 静かな診察室で、 少し冷たい金属がそっと触れた。