杏の胸の音を聞いた時、 先生の顔が少し曇った。 「診察は終わったから、ラクにしていいよ」 広瀬先生はカルテを記入し終え、 看護師さんがそのカルテを持って 診察室を出て行った。 杏は部屋に戻ろうと、 イスから立ち上がった時だった。 「鈴木さん、ちょっと待って」