白石先生は病室を出ようとしたとき、 ぼんやりと明るい杏のベットが目に入った。 近くに行くと、 ベット脇のオレンジ色の照明が光っている。 そこに本に顔を埋めながら 気持ち良さそうに眠る杏の姿が見えた。 (静かでいないと思ったら、寝てるのか…) 大人になった杏が急遽入院になったと聞き、 とても心配だった白石先生。 本当はすぐにでも杏に会って 話をしたかった。 白石先生は杏の照明をそっと消すと その場を後にした。