A Z T E C | 年上ドクターの甘い診察

「ゴホゴホッ」


咳が止まらなくて、
胸の奥がぎゅっと締めつけられた時、


私の背中に、
ふわっと、あたたかい手が触れた。


ゆっくり、やさしく、背中をなでてくれる。


……先生の手だった。


何も言わずに、ただ、
先生は私のことをさすってくれる。


私に振り回されてばっかで、
こんな時くらい、怒ってもいいのに。


「…いつも迷惑かけてごめんなさい」


震える杏の声。


咳と一緒に、
言葉までこぼれていく。


「この前も…無理して遊びに行こうとしたの、止めてくれたのに…何も言わずに、私…ゴホッ」


強がってた。
ずっと、平気なふりしてた。


でも、先生の手から感じる優しさに
心の壁が、音もなく崩れていく。


「…こんな私に、いつも向き合ってくれる先生に…私…」


もし私がもっと素直に、
ありのままの自分をさらけ出せる人だったら


どんなにラクだったんだろう。


そう思った瞬間、頑張って堪えていた涙が、
頬をつたって落ちた。