「今、どれくらいしんどい?」
杏との距離0cmで触れた聴診器は、
杏のカラダの状態を、
何もかも隠さず伝えていた。
「ちょっと苦し…ゴホゴホッ」
喋ると、我慢してた咳が思わず出た。
それ以上出ないよう、杏は慌てて耐える。
本当は座ってるだけでもかなりしんどい。
「ちょっとだけ…?」
先生の質問に、
杏は黙ったまま下を見つめる。
そうしている間も、
また咳が出てきそうになった。
先生は聴診器を首にかけると、
ゆっくりと体を杏の方へ向き直した。
「本当に?」
「…っ」
ーー杏は何も言えないまま沈黙が続く。
すると先生は少し前かがみになると、
杏の目線と合わせながら優しく見上げて言った。
「本当は?」
