(…ウソでしょ!今日は終日研修のはず!)



そう心の中で叫んだ瞬間、
受付で杏の名前がちょうど呼ばれた。



動揺を隠せない杏。



おそるおそる立ち上がると、
診察室のドアの前に立った。



“…コンコン…”



「どうぞ〜」

「失礼します…」



ドアを開けると、
イスに座ってカルテを確認している広瀬先生がいた。


その横顔を見ただけで、
杏は立ったまま動けなくなってしまった。



そんな杏に向かって、先生は手招きしている。



「ほら入って」